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DISEASES

生活習慣病
~高血圧症・脂質異常症・高尿酸血症~

食生活が豊かになり、生活が便利になり、さらに日常生活が多様化し、生活習慣による肥満や高血圧、脂質異常症(高脂血症)などの疾患が増えています。
血圧が高い、コレステロールが高い、尿酸が高い、BMI(肥満指数)が高いといった指摘を受けたことはありませんか。これらはほとんど無症状ですが、治療せずに放置すると、気が付いた時には全身の動脈硬化を起こしています。しかし、生活習慣に関わる病気に一人で取り組むのは大変なことです。デスクワークが多く忙しくて運動する時間のない方、食生活が乱れがちな方、お付き合いが多い方など、ご自身の努力では一筋縄でいかないものです。
また、これらは一般に生活習慣病と言われていますが、実際には体質的な要素が大きく影響しています。塩分に気を付けて脂物を控えて運動もしているけれど、血圧が高い、コレステロールが高いというような場合には、体質の要素が大きく、内服治療を併用された方が健康長寿を全う出来ることもあります。
どうぞお気軽にご相談いただき、是非私たちと一緒に取り組んでいきましょう。

 

高血圧症

収縮期血圧が130以上、拡張期血圧が80以上で、高値血圧(血圧が高めの状態にある)と言われています。血圧が高いと何が問題かと言いますと、血管に負荷がかかってしまい動脈硬化性疾患のリスクが非常に高くなります。すなわち、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞、脳出血といった重大な病気に高率で罹患するようになるということです。また長期に血圧を無治療で放置すると、心肥大を起こして心不全になることもありますし、腎不全から人工透析になることもあります。人工透析というと糖尿病を思い出されることが多いかと思いますが、実は透析導入の原因の第3位が腎硬化症(高血圧症によるもの)なのです。
血管に負担をかけないために血圧の治療を行うわけですが、高血圧の中にも重症の方から軽症の方までいらっしゃいます。例えば、日常的に収縮期血圧が180を上回るような状態の方は、急激な心不全や脳卒中のリスクがありますので、直ちに内服治療を開始する必要があります。140前後の血圧の方であれば、他に何の病気もなければまずはお食事運動療法を行います。ただし、140前後であっても、血糖値も高めであるとかコレステロールも高めであるような場合にはお薬での治療が優先されることもあります。また、すでに心臓にご病気があるとか脳卒中の既往があるということになりますとさらに厳格な治療が求められます。
このように同じ高血圧症でも患者様お一人お一人の病状によって治療方針も治療目標も異なってきますので、ぜひまずご受診いただきご相談ください。

2次性高血圧症ってどんな病気?

高血圧症は本態性高血圧症と2次性高血圧症に大別されます。2次性高血圧症は、高血圧を来す別の病気があって、結果として血圧が高くなっているもので、もともとの病気を治すことで、血圧も下がってきます。例えば、原発性アルドステロン症、甲状腺疾患、褐色細胞腫、腎血管性高血圧症、大動脈縮窄症など耳慣れないかと思いますが、およそ全高血圧症の1割程度がこうした2次性高血圧症であると言われています。高血圧の家族歴がないのに血圧が高い、若年で高血圧を指摘された、急に血圧が高くなってきた、このような場合は2次性高血圧症かもしれません。採血検査などで鑑別することが出来ます。当院では疑わしい患者様は積極的に採血検査等施行しています。合わせてご相談ください。

脂質異常症

コレステロールが高い病気は、高コレステロール血症、高脂血症、脂質異常症などと呼ばれ、どう違うのか迷われる方も多いかと思います。 コレステロールにはいくつかの種類があります。皆さんも健康診断で目にしたことがあるかと思いますが、日常的にはHDLコレステロール、LDLコレステロール、TG(中性脂肪)の3種類を採血し、コレステロールの病気がないかどうかを判断します。このうちLDLのみ高い状態が高コレステロール血症、LDLもしくはTGあるいは両方が高い状態を高脂血症、これらをすべてひっくるめて脂質異常症と呼んでいます。いずれにせよコレステロールの代謝に問題があるということです。脂質異常症も、カロリーの取りすぎ、脂物の取りすぎ、運動不足、肥満、飲酒などの生活習慣によって引き起こされます。反面、体質的な要素も大変強い疾患です。特にLDLコレステロールは家族性に高いことも多く、こういう方は生活習慣の改善だけでは正常値になることは非常にまれです。脂質異常症も、それ自体では症状が全く出ず、放置すると脳梗塞や心筋梗塞という重大な病気になります。
お薬を飲みたくないという方も多くみられますが、動脈硬化は一度なってしまうと元に戻すことはできませんので、血管をきれいな状態で保つということが何より大切です。お食事、運動療法に加えて、必要があればお薬も使いながら、早めの治療、動脈硬化の予防をしていきましょう。

高尿酸血症

尿酸値も、生活習慣と密接に結びついていますが、体質の要素も強いと考えられています。また糖尿病などの他の疾患があると、尿酸の合成が亢進するなどお互いが複雑に絡み合っていることも知られています。
尿酸が高いといいますと痛風を思い浮かべられるかと思います。足の親指が腫れてものすごく痛い、歩くこともできないとおっしゃってクリニックに来られる患者様もたくさんいらっしゃいます。痛風は、尿酸結晶が関節にたまって炎症を起こす病気です。痛風それ自体は、命にかかわる病気ではありませんが、風が吹いても痛いと言われるほど大変強い痛みを伴います。尿酸値を6.0未満にして数年間頑張って治療しないと、溜まった結晶が取り除かれないと言われており、少し辛抱よく治療していただきたいと思います。痛み止めを飲んで痛みが治まってしまってそのまま放置しますと、そのうちまた関節が腫れて痛いということを繰り返してしまいます。
また、これはあまり知られていないのですが高尿酸血症は腎障害のもとになると考えられています。腎機能がすでに少し落ち始めてしまったような場合には尿酸合成阻害剤などの内服が推奨されます。
水分が相対的に不足しがちな夏場は痛風発作の多い時期でもありますので、痛み止めを飲んでやり過ごさずに、ぜひご相談ください。